先日、母との何気ない会話の中で、「最近、視界に糸くずみたいなものが見えるのよ」と聞きました。
そんなことが起こっているなんて少し驚きましたが、本人は「みんなよくあるって聞くから」と、どこか呑気な様子。深刻に感じていないようでした。
実はこの話も、特にこちらから質問したわけではなく、会話の流れでたまたま出てきたものです。もしその場で話題にならなければ、母から自ら教えてくれることはなかったかもしれません。
高齢の家族は、自分の体の変化を「年齢のせい」と考え、あえて話さないことがあります。だからこそ、日常の会話の中でさりげなく健康の様子を聞くことが大切だと感じました。
確かに、飛蚊症(ひぶんしょう)は加齢とともに増える目の症状のひとつで、多くの場合は心配のいらない生理的な変化です。ですが、中には病気のサインとして現れることもあります。
飛蚊症とは?
飛蚊症とは、視界に黒い点や糸くず、虫のような影が浮かんで見える状態のことです。
目を動かしても、その影が一緒についてくるように見えるのが特徴です。
原因の多くは、眼球内の「硝子体(しょうしたい)」というゼリー状の組織が加齢で変化し、濁りやしわが生じることによるものです。これを「生理的飛蚊症」と呼びます。
放置してもよいケース
- 症状が数ヶ月前から変わらない
- 黒い影の数や形が急に増えていない
- 視力低下や視野の欠けがない
- 両目ではなく片目だけで、かつ症状が軽い
この場合は、加齢による自然な変化の可能性が高く、生活に大きな支障がなければ経過観察でよいとされています。
すぐに受診したほうがよいケース
飛蚊症の中には、網膜剥離(もうまくはくり)や硝子体出血などの重大な病気が隠れていることがあります。次のような症状がある場合は、できるだけ早く眼科を受診してください。
- 黒い点や糸くずの量が急に増えた
- 稲妻のような光(光視症)が走る
- 視野の一部が暗くなる、欠ける
- 急に視力が落ちた
こうした症状は網膜に異常が起きているサインかもしれません。放置すると視力を失う危険もあるため、**「いつもと違う」「急に変化した」**と感じたら迷わず受診しましょう。
高齢者に多い理由
- 加齢による硝子体の変化(濁りや収縮)
- 生活習慣病の影響(糖尿病、高血圧は目の血管に負担をかける)
- 紫外線の長年の蓄積による網膜へのダメージ
視力は年齢とともに少しずつ衰えていきますが、飛蚊症は「目からのメッセージ」として早めに気づけることもあります。
日常生活でできる目の健康ケア
- 定期的に眼科検診を受ける(年1回がおすすめ)
- サングラスや帽子で紫外線から目を守る
- ビタミンC・E、ルテインなど抗酸化作用のある食品を摂る
- 血圧や血糖値を適正に保つ
離れて暮らす家族のために
高齢の家族は「このくらいなら大丈夫」と自己判断しがちです。
そして、急な変化や違和感を本人が軽く見てしまうこともあります。介護者や家族が定期的に声をかけ、必要に応じて受診を促すことが大切です。
目の健康は生活の質に直結します。
「年齢のせいだから仕方ない」と片づけず、少しでも変化を感じたら早めのチェックを習慣にしていきたいですね。
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