「話を合わせる=嘘」じゃない|認知症の世界に寄り添うマインドリスニング

人と話したあと、どっと疲れることはありませんか。

認知症の家族の話を正そうとして、逆に関係がぎくしゃくしてしまう──そんな経験をした介護者は少なくありません。

結論から言えば、「話を合わせる」ことは嘘ではなく、相手が今いる世界に寄り添う行為です。そこに“聴き方”の視点を加えることで、あなた自身も楽になります。


目次

認知症の方との会話で、なぜ私たちは疲れてしまうのか

認知症の方との会話では、事実と違う話や、つじつまの合わない内容がよく出てきます。

真面目な人ほど「間違いは正さなければ」「嘘に同意してはいけない」と感じやすく、そのたびに心が緊張します。

特に、人との関わりで疲れやすい人は、

  • 相手の言葉を深く受け取りすぎる
  • 無意識に“正解”を探してしまう
  • 会話の責任を一人で背負ってしまう

という傾向があります。

その結果、会話そのものが「消耗する作業」になってしまうのです。


「正しく聞く」から「ただ聞く」へ|マインドリスニングという考え方

マインドリスニングとは、

評価せず・判断せず・結論を出さずに聴く姿勢のことです。

認知症の家族との会話では、

  • 内容を検証しない
  • 正誤を決めない
  • 未来に結びつけようとしない

この3つを意識するだけで、心の負担が大きく減ります。

たとえば、

「昔ここで働いていたのよ」という事実と違う話に対して、

「違うでしょ」と正す必要はありません。

「そうなんだ、ここで頑張ってたんだね」

それだけで十分です。

これは嘘ではなく、感情を聴いているという行為です。


俯瞰して見ると、会話の景色が変わる

会話の中に入り込みすぎると、私たちは疲れます。

そこで役立つのが「俯瞰する視点」です。

イメージしてみてください。

あなたは今、

  • 正解を探す当事者ではなく、
  • 会話の流れを静かに眺める観察者

大切な人の言葉を「事実」ではなく、

その人が今見ている風景として受け取るのです。

「年寄り笑うな我ゆく道」

人は誰しも、変化しながら生きていきます。

今の姿は、未来の自分かもしれません。


人との関わりに疲れやすいあなたへ|距離を取ることは冷たさではない

人と関わると疲れる人は、共感力が高い人です。

だからこそ、近づきすぎない工夫が必要です。

  • すべて受け止めなくていい
  • 会話を完璧に終わらせなくていい
  • 途中で席を外してもいい

マインドリスニングは、

「相手のため」だけでなく、自分を守るための聴き方でもあります。


今日からできる一歩|最初の10秒だけ、否定せずに聴く

結びに、今日からできる小さな行動をひとつ。

会話の最初の10秒だけ、

  • 否定しない
  • 訂正しない
  • 評価しない

ただ、相手の言葉をなぞるように聴いてみてください。

それだけで、会話の空気も、あなたの疲れ方も変わります。

あなたはもう、十分頑張っています。

無理に正しくあろうとしなくていいのです。


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