夜勤中の転倒事故を経験して思うこと:介護者の「もっとできたかも」に寄り添って

夜勤の静かな時間。

利用者さんの居室から突然、ゴンという音が聞こえた時の胸のざわめきを、私はきっとずっと忘れないと思います。

自立歩行ができる方でしたが、夜中に起き上がった際に転倒し、顔を血だらけにして倒れていました。頭を打っていたので頭部CTも撮り、幸い大きな異常は見つからず、出血も唇からのものでした。

それでも、あの時の光景が頭から離れません。

センサーを設置し、鳴った時点ですぐに駆けつけたつもりでも、「もっと早く気づけたんじゃないか」「もう少し別の方法があったのではないか」と、自分を責める気持ちが湧いてきます。

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「仕方がないこと」でも心は揺れる

介護をしていると、予防しきれない事故や、どうしても防げない出来事に出会うことがあります。

今回のようにセンサーが鳴ってすぐに動いても、ほんの数秒の間に転倒してしまうこともあります。

頭では「仕方がない」とわかっていても、「自分のせいではないか」と感じてしまう…。

きっと同じような思いを経験された方も多いのではないでしょうか。

完璧な介護は存在しない

介護の現場には「絶対に転ばせない」「絶対にケガをさせない」という強い思いがあります。

でも、すべてを完璧に防ぐのは本当に難しいのが現実です。

どれだけ見守りを工夫しても、転倒のリスクはゼロにはできません。

だからこそ、私たち介護者は「できる限りのことをした」と自分を認めてあげることも必要だと思います。

落ち込んだ心を少しでも和らげるために

事故後は「もしも」「もっと」を考え続けてしまうものです。

私自身も、「もっと他にできたことはなかったか」と思い悩みました。

そんな時は、同じ経験をした仲間に話すこと、誰かに気持ちを聞いてもらうことが助けになります。

気持ちを吐き出すことで、「一人で抱え込まなくていい」と心が少し軽くなることがあります。

利用者さんの回復を祈りながら

今回、幸いにも大きな後遺症にはつながらずに済みました。

それでも、利用者さんが安心して生活できるよう、できることをもう一度見直していきたいと思っています。

そして何より、自分を責めすぎずに。

「できる限りのことをした」と自分に言い聞かせて、次の夜勤に向き合おうと思います。

まとめ:あなたも一人じゃない

介護の現場では、心をすり減らすような出来事に出会うことがあります。

でも、そのたびに「自分を責める人ほど、誰よりも相手を思いやっている人」だと思います。

どうか、同じように心を痛めている方がいたら、自分を責めすぎないでください。

誰かに話してみてください。

私も、あなたのように悩みながら、それでもまた前を向いていこうと思っています。


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