高齢者を介護していると、特に冬場には低体温症が深刻な問題となります。高齢者は体温調節機能が低下しやすく、寒さを強く感じる方が多いのが特徴です。実際にご家族や介護の現場でも、寒がりの高齢者を目にする機会が多いのではないでしょうか。
さらに、寒さや暑さの感じ方は人によって異なり、個々の感覚を尊重することが大切です。例えば、家族の中でも寒がりな方と暑がりな方が共存していることは珍しくありません。お互いが快適に過ごせるよう、理解し合い工夫する姿勢が重要です。特に介護が必要な方には、こまめに声をかけて体調確認を行うことが必要です。
目次
低体温症の危険性
低体温症とは、体温が35℃未満に低下する状態を指します。高齢者は以下の理由から特にリスクが高まります。
高齢者が低体温症になりやすい理由
- 筋肉量の減少:筋肉が熱を生産する力が低下し、冷えを感じやすくなる
- 血流低下:加齢により血管が硬くなり、末端が冷えやすい
- 基礎代謝の低下:体温を維持しにくくなるため、寒さに弱くなる
- ホルモンバランスの変化:特に女性は更年期を経て体温調節が難しくなる
- 首や足首が冷えると体調を崩しやすい:血管が集中しているため冷えやすく、血流不良が全身に影響する
低体温症が引き起こすリスク
- 意識障害や混乱、反応の鈍化
- 筋肉の硬直や震え
- 心拍数や呼吸の低下
- 重症化すると心停止や死亡の危険
低体温症の予防策
- 暖房器具を適切に使用し、室温を20℃以上に保つ
2. 重ね着を工夫する
- 薄手のインナーやヒートテックを1枚目に着用し、保温性のあるセーターやカーディガンを重ねる
- フリース素材やダウンベストを加えて、軽量かつ保温性を確保
- 動きやすさを考慮し、厚手1枚よりも薄手を何枚か重ねるのがポイント
3. 首や足首を温める工夫
- ネックウォーマー:頸動脈を温めることで血流促進し、頭部から全身にかけての体温維持をサポート
- レッグウォーマー:足首を覆うことで血流を維持し、冷えを防ぐ。膝までカバーできるタイプや裏起毛素材がおすすめ
4. 湯たんぽや電気毛布を活用して、寝具の保温を強化
- 湯たんぽはタオルや専用カバーで包み、直接肌に触れないようにする
- 電気毛布は温度設定を低めにし、タイマー機能を使う
- 低温やけどに注意:長時間同じ部位に当て続けないよう工夫する
5. 温かい飲み物を定期的に摂取し、体内から温める
6. 介護者はこまめに声かけを行い、寒さの感じ方を確認する
まとめ
低体温症は高齢者にとって深刻なリスクを伴いますが、適切な環境管理やコミュニケーションで予防が可能です。寒さや暑さの感じ方には個人差があることを理解しつつ、介護者として丁寧にサポートしていきましょう。
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